業務改善の日々 4話:検査部門の集約

検査部門の集約のメリット

前回までは重複する業務を無くすことで、業務改善を実施してきました。
今までやっていたことを止めることが効果が最も高いのですが、止めることができない業務もあります。
止めることができない業務を効率化する方法の1つとして業務の集約があります。

今回は、検査を行う部門を集約することによって業務の効率化した話をご紹介します。

部門間の業務の縦割り

会社が業務を役割分担して行うために組織があります。
会社の目標を達成するために助け合うのが理想の姿ではありますが、部門が業務範囲を決めて、それ以外の業務はやらないし協力しないということが良くあります。いわゆる「セクショナリズム」と言うやつです。

セクショナリズムとは
集団・組織内部の各部署が互いに協力し合うことなく、自分たちが保持する権限や利害にこだわり、外部からの干渉を排除しようとする排他的傾向のことをいう。 官僚制における逆機能の一つとして指摘されたもので、組織内部の専門性を追求しすぎた結果起こってくる機能障害である。

検査業務の集約は、部門を超えて業務を移管させることになるので業務を受取側の部門が非協力的だと話が進みません。

検査業務の受取側の部門に納得してもらい協力してもらうことが、この業務改善の一番大きな課題となります。

改善前の業務

ここからが本題となります。
改善前の各部門の業務を見ていきましょう。

部門A
 ①検査員のスキル管理
 ②検査設備の管理
 ③中間製品の検査

部門B
 ①検査員のスキル管理
 ②検査設備の管理
 ③完成品の検査

部門Aと部門Bでの検査は同じ検査です。
そのため、2つの部門で必要なスキルは同じです。
実施するタイミングが違うだけです。部門Aは中間製品の検査、部門Bは完成品の検査を実施します。

完成品の検査(部門Bの検査)は中間製品の検査(部門Aの検査)より頻度が少ないので次のような問題があります。

  • B部門の検査員のスキルも上がりにくい。
  • B部門は設備は機能が乏しく非効率な検査となっている。

これらの問題を解決するために部門Bの検査を部門Aへ集約しました。

改善後の業務

改善後の各部門の業務を見てみましょう。

部門A
 ①検査員のスキル管理
 ②検査設備の管理
 ③中間製品の検査/ 完成品の検査

部門B
 ①検査員のスキル管理
 ②検査設備の管理

まず、部門Bの検査員のスキル管理と検査設備の管理が無くなっていることが分かると思います。
完成品の検査が部門Aに移管させることにより、
性能の良い設備を使用できることと、高いスキルの検査員が検査することで、検査にかかる時間が削減されました。

部門Aは業務は増えていますが、会社全体としては検査にかかる工数は削減されています。
部門Bは大幅に工数が削減されたため、残業時間の削減・余剰となった人員は人手不足の部門への異動により、人材の有効活用されています。

苦労した業務集約

上司の理解を得る

改めて、会社での私の立場をお話しておきます。

私は、課長や部長などの組織の経営やマネージメントする立場ではなく、いわゆる一般社員です。
そのため、私には業務を部署に移管させる権限がありませんので、権限がある人物に業務集約の必要性を理解してもらい他部門と調整して貰う必要があります。

本件の業務改善は、直属の上司(課長)に検査業務を集約することで業務が効率化させること説明するところから、始まりました。

私の提案内容の概要はこのような内容でした。

「部門B」で行っている業務を「部門A」に集約することで、業務を効率化することができる。
(詳細は8話を参照)

直属の上司(課長)には理解をしてもらいました。

困難を極める検査業務の集約

上司は理解してくれたが、部門Aの課長は業務が増えるため業務の受取を拒否して話は進まなくなってしまいました。

広い視野を持たないと、会社全体の最適ではなく、部門毎の部分最適が行われてしまいます。

ここで引き下がると何も改善できないので、少し期間を開けてアプローチを少し変えながら、検査業務の集約の提案をしました。

たぶん、3回目の提案のときに部門Aへの検査業務の集約が決まりました。

この時には、「部門Aの課長」と「部門Bの課長」だけでなく「部門A、部門Bを統括する部長」の3者で全体最適するにはどうすればよいかを話し合ってもらえたようです。

諦めずに行動し続ければ、自分の権限のない業務の改善でもできるという良い経験になりました。

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