業務改善の日々 2話:重複する業務を無くす!

概要

前回の改善で書類管理の改善はできました。
(最終的には文書管理システムを導入することになるが、それはもう少し先の話です。)

書類管理は一段落したので、ここから本格的な業務改善に取り組んでいきました。

次に取り組んだのが、重複する業務を無くすことです。

会社の中でよくある業務のパターンで次のようなものはないでしょうか?

 ①申請者が申請書に必要事項を入力する。
 ②承認者が申請書の内容を確認し承認する。
 ③管理者が申請書の承認した内容をデータベースに登録する。

私の業務は製品の品質保証・品質管理なのですが、このパターンの業務は多いです。

このパターンの業務は、①の申請書に入力する内容と③でデータベースに入力する内容はほぼ被ります。

この業務フロー中に同じ内容を、①の申請者と③の管理者の2人がパソコンで入力作業をしていることになります。

①の申請者が入力した内容がデータベースにそのまま登録されるようにすれば、③の重複した業務は無くすことができます。

このデータベースに登録する作業は、登録項目が多くて件数が多いとそれだけで、かなりの工数が必要となりますが、会社にとって利益を生む業務でないため無くすのが一番です。

この時、業務改善のために使用したツールがMicrosoft ACCESSです。
ACCESSの使い方に詳しい先輩社員と一緒に実施しました。

ACCESSにはフォームとレポートという機能があります。
フォームでは入力した内容をデータベースに登録することができます。
レポートではデータベースに登録した内容を決められた様式に印刷することができます。

ACCESSを使った業務の流れは次のようになります。

 ①申請者はACCESSのフォームで申請内容を入力し、
  レポートで申請書を印刷する。
 ②承認者が申請書の内容を確認し承認する。
 ③管理者はデータベースの承認されたデータを承認済ステータスにする。

ACCESSのフォームとレポートの機能を使うことで①の申請者の業務量は変わらずに、③の管理者が行っていた①と重複していた業務が無くなりました。

再審処理

再審処理とは?

ものづくりの仕事に関わっていない人だと「再審処理ってなに?」となるかもしれません。
まずは、再審処理とはなにかを簡単にお話したいと思います。

いわゆるメーカーと言われる会社は製品を製造しています。

100%良いものを作ろうとしていますが、時々決められた規格から外れた製品が作られてしまうことがあります。

この規格から外れた製品の処置を決めることを再審処理と言います。

改善前の再審処理の業務内容

まずは、改善前の再審処理の業務内容の流れを紹介します。

 ①規格から外れた製品を発見した部門が再審処理の申請書を作成する。
 ②再審処理の申請書の採番を行い、書類台帳(エクセル)に
  申請書の内容を入力する。
 ③再審処理の判定・承認をする。

①の申請書作成時の入力項目と②の書類台帳への入力項目が重複しています。

ACCESSを使って、この重複した業務を無くす改善を行います。

改善後の再審処理の業務内容

改善後の再審処理の業務の流れがこちらになります。

 ①規格から外れた製品を発見した部門が再審処理の内容を
  ACCESSのフォームに入力する。
  ACCESSのレポートで申請書をで印刷する。
 ②再審処理の申請書の採番を行い、書類台帳(エクセル)に
  申請書の内容を入力する。

 ③再審処理の判定・承認をする。

ACCESSを利用することで、②の業務が無くなりました。
申請書の採番はフォーム入力時に自動で行われ、印刷したときに文書番号も申請書に表示されます。
書類台帳に入力する業務が無くなったため、再審の判定のみが業務として残りました。

再審処理業務の改善後

本来は再審処理業務は少ない方がよいのですが、現実は再審処理の件数は多いので、この改善で工数が大幅に削減されました。

この改善のおかげで、削減された工数で本来の品質保証の業務である品質向上のための改善業務を実施する時間も多く確保できました。
製品品質も向上し不良率も削減されたため、再審処理業務の時間が更に削減できるという好循環が回り始めました。

さらに、製品の修理工数の削減、不良品として廃棄する製品の削減も達成することができました。

工程変更

工程変更とは?

工業製品を作る場合は、職人の経験と勘に頼って作るわけではありません。製造コストや品質などを考慮し、製品の製造方法を確立します。

例えば、下記の順に製品の製造工程を設定したとします。

①材料の仕入れ → ②粗加工 → ③仕上げ加工 → ④表面処理 → ⑤検査 → ⑥包装・梱包 → ⑦出荷

色々な理由で、設定した工程を変更することがあります。

これが「工程変更」と言われるものです。

  • 材料を安く仕入れするために仕入先を変更する。
  • 品質を安定させるために仕上加工の条件を変更する。
  • 品質が安定しているので、検査頻度を減らす。

このように色々な内容の工程変更が日々発生します。

工程の変更は品質が大きく変わる可能性があるため、通常は変化点を管理します。
この管理が工程変更と言われるものです。

改善前の工程変更の業務内容

工程変更の処理は会社に色々なパターンがありますが、私が勤めている会社での業務の流れを紹介します。

 ①工程変更の発案部門が工程変更の申請書を作成する。
 ②工程変更の申請書の採番を行い、書類台帳(エクセル)に
  申請書の内容を入力する。
 ③関係者で工程変更の内容をレビューし問題なければ製造の承認をする。
 ④書類台帳で本文書のステータスを製造の承認とする。
 ⑤工程変更した工程で製品を製造し、その初回品の品質が問題ないこと
  を確認する。
 ⑥初回品の品質が問題ないことが確認できたら出荷の許可を出す。

再審処理と比べても、業務の流れが少し複雑です。
①の申請書作成時の入力項目と②の書類台帳への入力項目が重複しています。
ACCESSを使って、この重複した業務を無くす改善を行います。

改善後の工程変更の業務内容

改善後の再審処理の業務の流れがこちらになります。

 ①工程変更の発案部門が工程変更の申請書の内容を
  ACCESSのフォームに入力する。
  ACCESSのレポートで申請書をで印刷する。
 ②工程変更の申請書の採番を行い、書類台帳(エクセル)に
  申請書の内容を入力する。

 ③関係者で工程変更の内容をレビューし問題なければ製造の承認をする。
 ④書類台帳(ACCESS)で本文書のステータスを製造の承認とする。
 ⑤工程変更した工程で製品を製造し、その初回品の品質が問題ないこと
  を確認する。
 ⑥初回品の品質が問題ないことが確認できたら出荷の許可を出す。

再審処理と同様に、ACCESSを利用することで②の業務が無くなりました。
申請書の採番はフォーム入力時に自動で行われ、印刷したときに文書番号も申請書に表示されます。

また、ACCESSを利用することで工程変更のデータベースを発案部門とも共有することができたのはメリットではあります。

工程変更の業務の改善後

工程変更の業務も効率化されました。
提出される工程変更の数が多かったので、かなりの工数が削減されました。

しかし、③~⑥の業務はまだまだ改善の余地はありそうです。
こちらの改善は、次話以降でご紹介します。

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